アルゼンチン人ダンサー、ファン・ロマン・マンクーソが三陸にある小さな港町にやってきたのは三日前のことだ。エルプリンチぺ!エルニーニョ!バイアグラ!熱狂と狂騒の渦でダンサーとして獲られるかぎりの称賛を得た彼は「ワールドツアー《マンクーソ博士の世界塔!見ないとらめぇぇぇ》」で訪れた東京の夜、フォーシーズンホテルのベッド、エロスに塗られた激しいスリータイムスの後、菊地凛子の陰毛のなかで三陸海岸のビジョンに撃ち抜かれ、翌朝、三陸へ飛んでいた。 ニューヨークで知り合った日本人アーティスト、ミッキー柳井から教えてもらった《東洋の神秘ザ・ヘリコプター》で激しく交わったあと闇に浮くテレビにテレビドラマ、額の広い黒いジャケットの男を見つけ、刑事役だろうか?顔をしかめたマンクーソに傍らで潮を吹いていた菊地凛子が潮を止めて「興味あるの?ミスターダンサー…。あなたの国のリオのカーニバルみたいに能天気な顔でしょ…あ