著: 永田ゆにこ 京王線・仙川駅の改札を出ると、目の前に桜の木があります。 桜が満開のとき、改札から出るとみんなスマホで写真を撮ります。この桜はもともと、駅前整備のため切られてしまう予定でした。でも当時の仙川の住民たちの集めた署名によって、一本はそのままに、もう一本は改札の前に移植され、今でもこうしてみんなに愛されています。わたしもこの桜の署名をしたひとり。2000年。上京した年でした。 地元長野から上京してきて初めて住んだ街、調布市仙川。東京で初めて住む街は親が決めました。学校が新宿だったのでアクセスがいいっていうのと……あとは知りません。気づいたら駅と家が決まってました。勝手に決められたこの街で、18歳からの多感な時期を過ごすことになります。 ストイックな部活に入ってしまったせいで甘酸っぱい青春なんか1ミリもなく、毎日毎日早くこの生活が終わればいいと過ごしていた高校3年間。どこを見渡し