もう40年ほども前の話だが、小学校の運動会で経験した忘れられない記憶がある。 その年、4年生には「5本綱引き」というちょっと変わった種目が導入されることになった。 お互いの陣地の真ん中に長さ3mほどの縄が5本置かれ、「ヨーイドン!」で駆け寄り、奪い合うという競技だ。クラス対抗で、3本以上を自陣内に取り込めば勝ちというルールである。 力勝負の単純な綱引きと違い、奪い合いになる縄もあれば、足の早い子が一人で自陣に持ち帰ってしまう縄もある。 小学校4年生にさせるには「勝つための戦い方」が求められる、なかなかおもしろい競技だった。 しかしこの時、我が4年2組は予行演習で何回戦っても他組に勝てなかった。 足の速い子がおらず、総合的な体力も劣っていたのだろう。事前練習では1回も勝てない悲惨な状況である。 悔しさの余り私は、運動会前日の“帰りの会”で挙手をし、こんな提案をした。 「このままでは、明日の運