もう一月以上経ってしまったが、英王室のウィリアム王子とケイト・ミドルトンさん(今となっては「キャサリン妃」と言わなければならないか)との結婚式を中継で見ていて、ふと気がついたことがある。 ウェストミンスター寺院での式次第がとどこおりなく進んで、国歌斉唱、という場面になった時だ。列席者全員が立ち上がり、皆さん大きく口を開け、あるいはちいさく開けて斉唱を始めた。 テレビ中継では一番大きく口を開けていたのはエリザベス女王の夫君、フィリップ殿下のように見えた。 御歳90。もともとギリシャ王室の出身で、英王室に入って60余年。女王にとっては最も身近にいる臣下、ということになる。女王の傍らで背筋を伸ばし、頬を紅潮させて歌う姿は心を打つものがあった。 ギリシャ王室の出身とはいっても、殿下は民族文化的にギリシャ人というわけではない。19世紀にギリシャがオスマントルコから独立した際に、ドイツ・バイエ