雨すごいですね。いま会社なんですけど、窓の外が世界の終わりみたいですてきです。 メールを書いて送信してしばらく手を動かしていると返信があった。僕もまだ会社です。まったくゴージャスな夜。もうちょっと保ってくれるといいんですが。 その後、雨はしだいに常識的な量に落ちついてきた。こんこんと控えめなノックの音がして、メールを出した先輩が入ってきた。ふつうの雨になっちゃいましたね、と彼は言った。そうですねと私はこたえた。ふたりともなんでそんなにしょんぼりしてるんですかと、一緒に作業していた後輩が訊いた。 私たちは顔を見あわせた。相互に発言を譲る沈黙があり、それから、豪雨が好きなんですと彼は言った。 何年か前、やはりおそろしいほどの雨が降った。外を歩く人のほとんどが傘を差していなかった。いずれ濡れてしまうし、風もあるから、ひらいていると危険なのだった。私はそれを確認していそいそと靴を仕舞った。 今日と