「朝日新聞」(2011年4月3日付)でササキバラ・ゴウが紹介しており、購入した。 絵柄を見たとたんに、よくある「癒し」「ロハス」的な物語を想像してしまった。祖母から受け継いだ小さな店でオーダーメイドの服を作っているが決して量産はしない、という筋書きを聞けばなおさらそう思うだろう。 現代文明に、「自然」や「手作り」を対置して、ゆるゆるとした静謐な時間の流れを描く、という手法は、否定する気はないけども、マンガの作品として見ると、ただ間が抜けただけの、濃度の低い、うす〜い画面が広がっているにすぎない、早い話が退屈なマンガになっていることが少なくない。「人が少ない森とか村とか描いて、セリフを少なくしときゃいいんだろ」的なものに結果的に仕上がっている(描き手にその気がなくても、ね)。 ところが本作『繕い裁つ人』はまるで逆である。 主人公・南市江の作品を「ブランド化してネットショップで扱」おうとする、