時計を見るととふだん起きる時刻だった。今日は休日だと思いながら布団のなかでにこにこしていると、携帯電話が鳴った。 私はそれを取り、ベッドから半身を乗りだしてカーテンをひらく。朝の習慣だ。おはようと私は言う。さわやかな朝だね。日光をあびると良いよ、バイオリズムが整う。僕はまだ夜の続きなんだと彼は言う。彼は私と同じ業界のやや異なる職に就いている。彼はいつだったか、僕らはいわば精神的な同期だねと言った。私たちは同い年だ。 彼の長い夜の内訳を問うと、空が白むまでが仕事で、そのあとがお酒だという。ばかだねと私は言う。終わったらさっさと寝たらいいのに。それで、いいだけ眠ったらブランチにするの。やわらかなオムレツと、口の中が切れそうなバゲット、とかね。そしてお散歩をする。夜になったら小説を読んで眠る。アモンティリャードはなし、ボンベイサファイアもなし、グレンリヴェットもなし。誰かとひとびんのハートランド