a 一般的特徴 すでにこれまでの討論でいろいろな問題が出ていますが、ここでは体制としてのファシズムがどのように形成されていったかという点を中心にして整理 していきたいと思います。 まず、日本の場合には、ファシズム運動が既存の国家機構の外側で独自の組織をつくって権力を奪いとり、ファシズム体制を形成するという形にはならなかった。いわゆる「急進ファシズム運動』は、大衆を組織することに熱意を示さず、「志士」によるテロ・クーデター方式で一挙に権力中枢を制圧することをねらい、結局、失敗に終わります。ですから 「急進ファシズム運動」は、植民地現地車の侵略と呼応しながら既成勢力の政治力を弱め、ファッショ化をすすめる条件をつくりはしましたが、ファシズムの体制化という観点からみますと、終始「体制化」の中心をはずれたところで活動していたといえるのではないかと思います。 では、ファシズム体制化過程の軸になっている