「文脈病」所収 「アニメ」の国のミヤザキ アニメーションと総称される分野の中でも、いわゆる「アニメ(日本製アニメーション)」の特異な発展とその国際的受容については、いくぶん無批判的に称揚され過ぎてきたきらいがある。日本製のアニメはたとえそれが「宮崎アニメ」であろうと「R指定」にしてしまうイタリア、スペインなどの過剰反応を、衰弱した国家身体の奇妙な免疫反応として嗤うことはたやすい。しかしあるいは、彼らは「アニメ」に本質的に随伴する「無-倫理性」の徴候を見切っているのかも知れないのだ。 アニメに「倫理」?オタクの哄笑を誘いかねないこうした不用意な提言を、あえて試みる目的はなにか。「宮崎アニメ」の徹底的な擁護のためである。擁護?何かの間違いだろうか?公開前からすでにトップクラスの興収と評価を約束された大作「もののけ姫」の宮崎駿を「擁護」する?しかし言い間違いではない。本