チェルフィッチュ『ゾウガメのソニックライフ』 神奈川芸術劇場 2011年2月1日 撮影:宇壽山貴久子 ネットで「アートスフィア」と検索してみたら、そういう名前の劇場はもうなくて、いまは「天王洲銀河劇場」と呼ぶのだという。2006年に経営母体が変わり、ホリプロ系列のグループ会社が運営しているらしい。思い起こせば、最後に足を運んだのは05年に来日した作曲家、故・シュトックハウゼンの日本公演だった。鳴り止まぬ拍手のなか、舞台に姿を現したシュトックハウゼンに二階席の最前列で最後まで声を上げ拍手をやめぬ男がいて、誰かと思ったら作家の中原昌也だった。その拍手があまりに長いので、シュトックハウゼンも中原の様子に気づき、少しのあいだ、両者が目を合わせる場面があった。そのわずかの時間、この広い劇場で二人だけにスポットが当たり、他のすべての空間が暗転したような気がした。むろんコンサートそのものも感慨深かったが