文は一行目から書かなくていい [著]藤原智美[評者]清野由美(ジャーナリスト)[掲載]2011年6月12日著者:藤原 智美(ふじわら ともみ) 出版社:プレジデント社 価格:¥ 1,365 ■作家が指南、硬派な文章術 自分の書いた文章で相手の共感を呼び起こすことは、実は非常に難易度が高い。それが企画書やリポートなど、ビジネス上の文書であればなおさら。そんな困難を持つ仕事人に向かって、プロの作家が指南する文章術が本書にはまとめられている。 といっても著者のスタンスは「直接的なハウツーばかりを他人の言葉のなかに求めても、それで完璧に書けるようになるとか、すばらしい文章が生まれるということは、まずありません」と、厳しくてストイックなもの。さすが芥川賞作家。その辺のハウツー本とはレベルがちょっと違うのだ。 たとえば著者は、文章を自分で音読してテープに録音し、再び聞く、という手の込んだ推敲(すいこ