この内容なら上映時間は50分前後でよかった。間違いなく山田尚子監督がこれまで作ってきた『けいおん!』から『リズと青い鳥』までに培ってきたものの総決算だし、また作家として次のステップへ進もうと表現の挑戦をしているのもわかる。映画館で観なくては体験できないシーンも多い。 しかし僕には上映時間101分がちょっと冗長に感じられた。ふと映画の途中で隣の席に座る短い髪の男を見るとウトウトとしていた。これは挑戦を生かしきれていなくて、『リズと青い鳥』でやったことからあまり前進できていないせいかもしれない。それなら挑戦したい部分を凝縮して短くまとめたほうがタイトな完成度になった(『ルックバック』が公開されたいま、80分を切るアニメート中心の中編アニメはやりやすくなりそうでもあるが)。 その挑戦とは何か。映画館で本編の前に『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』と『ふれる。』の予告編が流れたのだが、それらと『きみ