1965年に日韓の国交正常化を成り立たせ、その後50年以上にわたって両国関係を安定させてきた法的土台が根幹から揺れている。「旧朝鮮半島出身労働者(「元徴用工」)」判決や輸出管理の厳格化で両国の外交摩擦が激しくなり、在韓日系企業にも影響が出始めている。落としどころはあるのか。韓国政治や日韓関係が専門の同志社大学教授・浅羽祐樹氏は文在寅(ムン・ジェイン)政権について「当事者意識を感じていないのが最大の問題」と指摘。緊張関係は長期化するとの見方を示す。 ——日本政府による韓国向け輸出管理の強化は、日韓企業にも大きな衝撃を与えた。 輸出管理とは本来別次元の問題だが、元徴用工訴訟問題が引き金となったのは間違いない。元徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決は、「65年の日韓基本条約による国交正常化とそれ以降の友好協力関係の法的基盤を覆した」というのが日本政府の認識だ。 ——徴用工判