「万国のプロレタリア、団結せよ!」と、マルクスとエンゲルスがアジる『共産党宣言』が西洋の端っこ、ロンドンで出版されたのが1848年。それから百数十年の歳月が経ち、東洋の端っこにあるこの国で、プレカリアート(=不安定な雇用・過酷な労働状況を余儀なくされる非正規雇用者・失業者)を代弁し、「生きさせよ!」と訴える本書が上梓された。プレカリアートとは、「Precario(不安定な)」「(Proletariato(プロレタリアート)」(いずれもイタリア語)を組み合わせた造語である。 日本におけるプレカリアートの典型が若年ホームレスたちだ。日雇い派遣で仕事をこなし、6000円から8000円といった額の日銭を稼ぐものの、まとまったお金がない、身元保証人がいないなどの理由で、雨露をしのぐ部屋すらも借りられず、ネットカフェや24時間営業のマクドナルドを寝ぐらにする現代日本の“難民”たちである。 「日雇い派遣