規制緩和という悪夢 内橋 克人 / / 文藝春秋 ISBN : 416765623X スコア選択: ※※※※※ 内橋克人が著した「規制緩和という悪夢」は、日本経済学史に残る名著である。90年代に書かれたとは思えない見事なまでの予測力と洞察、分析力には感服せざるを得ない。この本が書かれた当時の日本は、規制緩和ブームで様々な経済学者や政治家等が「規制緩和が実行されれば、物価は下がり、消費者の所得は上昇し、新しい産業が生まれ、雇用は増大する」という主張を繰り返していた。言うまでもなくこの流れの行き着いた先が現在の小泉政権である。 本書には今流行り?のキーワードである「格差社会」の本質的な構造までもが触れられているが、そもそも格差のない社会なんてあるわけがなく、何をどうしようとも格差が生まれるのが資本主義経済の必然である。資本主義経済を信奉した昔の学者らが「資本主義には最高の道徳が求められる」と説