偶然といえば、やっぱりサイコロ。本のカバーと同じでは申し訳ないので、カラフルなものを文具店で見つけた=尾関章撮影 本読みは、偶然の賜物である。本屋に行く。華やいだ街の大手書店のこともある。駅前にある馴染みの本屋のこともある。自転車で乗りつける中古本ショップのこともある。目を書棚に並ぶ背表紙に走らせて、それが止まる一瞬が大事だ。「これだ」と思うと、その本と僕との間に関係性が生まれる。この「文理悠々」でとりあげてきた本のなかには、こんな瞬間を経て買い込んだものが多い。 最近では、1月20日付当欄で紹介した『缶詰に愛をこめて』(小泉武夫著、朝日新書)や、2月3日付当欄の『「闇学」入門』(中野純著、集英社新書)がそうだ。背表紙にある「缶詰に愛」や「闇学」の字面が強烈だった。 さて今回、当欄は200回目を迎えた。初回は2010年4月1日、「植草甚一の話から始めてみよう」だった。欄名は「めざせ文理両道