俺はなぜ、あんな力を手に入れてしまったのか。 そしてなぜ、その力に溺れてしまったのか・・・。 あの日はいつもより仕事が遅くなり、最寄駅の終電はとっくに去っていた。 かと言ってタクシー代の領収証を申請するような度胸も無いし、仮に出したって経理に突き返されるのが落ちだろう。 俺は深くため息をついて椅子から立ち上がり、歩く決心をした。 三駅ほどの距離を歩けば、まだ動いている路線に辿り着ける。 しかしそれもギリギリだ。 急がなければ。 いつもより少し早く過ぎ去る地面に、キラリと光るものをみつけた。 プラスティック製のカードだった。 「potential card・・・なんだこれ」 ポテンシャル、潜在能力・・・? 何気なくカードの表面の文字を指でなぞった瞬間。 形容し難い違和感に襲われた。 地面が揺れているような、空間が歪むような、高熱にうなされるような。 気付けば目の前に「何か」が居た。 それは俺