2023年5月12日、ゲーム業界を揺るがす衝撃が走った。『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』(以下、ゼルダTotK)の発売である。まず本作は傑作である。具体的には2023年における最高傑作なのはほぼ確定として、恐らく2020年代において本作を超える傑作はもう出ないのではないかと早くも思わされるほどの傑作であった。 筆者も批評を書く人間として、さすがに『ゼルダTotK』について語らずにはいられなかった。しかし、本作を語る上で大きな問題が一つあった。それは前作『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』(以下、ゼルダBotW)の世間の評価が、あまりに納得できかねる不十分なものだったため、続編の本作を理解することを一層困難にしていることだった。 確かに『ゼルダBotW』が「傑作」であるという「結論」は、既に確立されている。数々の賞を総なめにし、SNSでも史上最高の作品という声もあり、筆者も本作