集団生物学の授業のためにヒトの進化に関する最新の研究をレビューした。その過程で、ネアンデルタールとヒトが交雑したことを支持する新しい証拠が発表されていることを知った。ネアンデルタールのDNA配列から、交雑はなかったという結論が出たと思っていたが、この結論を下すのは時期尚早だったようだ。しかも、交雑がヒトの脳の適応進化に貢献したことを示唆する証拠が出た。この報告は2006年に発表されたのだが、昨年から今年にかけていくつもの総説や論文でとりあげられ、ホットな議論の対象となっている。関連の論文を書きとめておく。 Evans & al. (2005) Microcephalin, a gene regulating brain size, continues to evolve adaptively in humans. Science 309: 1717 - 1720. 発端となったのは、この論