これまでの連載では、既存の実装コードに対してリファクタリングを行っていくと、自然な成り行きでデザインパターンが導かれていくことを説明してきた。このことが示すとおり、デザインパターンは<有能な設計者のみが行える特殊な>デザインではない。むしろ、<オブジェクト指向で設計する者がその最適な解を求めるうえで当然の帰結として用いられる普遍的な>デザインなのである。つまり、デザインパターンを覚えておくということは、この解にすばやく到達できるということを意味する。 それでは、覚えておいたデザインパターンを、自由気ままにあらゆる場所で何にでも適用していくという態度は正しいだろうか。もちろんそんなわけはない。デザインパターンを適用するのにふさわしくないケース(個所)があるのだ。従って、上手にデザインパターンを使いこなすためには、そういった個所、つまり「デザインパターンの落とし穴」を避けて通る必要があるのだ。