経済活動でも政治でも、もっとも重要なのは何を問題として取り上げるかというアジェンダ設定である。誤った問題をいくら考えても、正しい答は出ない。みんなの党が政策をアジェンダと呼んでいるのは、この点を意識したものだろうが、江田憲司幹事長のアジェンダ設定は誤っている。 彼は「30兆円にものぼるデフレギャップを解消しない限り、真の景気回復や雇用の拡大はない」というが、そんなに大きなGDPギャップは本当に存在するのか。これについては学界でも論争中で、その基準となる潜在GDPの導出方法は、Mishkinの分類によれば次の3つある: 実際のGDPをスムーズにするアプローチ 生産関数を使うアプローチ DSGEモデルを使うアプローチ 内閣府が採用しているのは2のアプローチだが、これは前期までの平均設備稼働率を生産関数に外挿したもので、需要ショックが含まれていない。特に2008年秋以降の外需の大きな落ち込みが反