小泉純一郎前首相の後継者として登場した安倍晋三首相が、就任後わずか約1年で退陣に追い込まれた。その理由は、年金や「政治とカネ」、閣僚の失言などの問題だけではない。世界の政治経済の潮流から見ると、安倍政権が抱えていた本質的な矛盾が浮かび上がる。それは次期政権も、必然的に背負う課題でもある。新自由主義改革など世界の政治潮流に詳しい渡辺治一橋大学教授に聞いた。 (聞き手は、日経ビジネス オンライン記者=大豆生田 崇志 ) NBO 世界の政治経済の潮流から見ると、安倍政権が退陣に追い込まれた本質的な理由は何でしょうか。 渡辺 「新自由主義」と「新保守主義」の狭間で、立ち尽くしてしまったことが安倍首相の失敗の本質です。 安倍首相は本来、新保守主義的で、新自由主義的な構造改革にはなじみのある政治家ではありません。ところが小泉純一郎前首相の後継者として、構造改革をやると言わなければ政権を取れなかったので