新興国に関する不安については昨年10月にこのコラムで詳説した通りだが、年が明けてからも中国経済の鈍化予想やアルゼンチン・ペソの急落を契機に、改めてそのリスクが浮き彫りになっている。各国の株式市場では昨年来の超楽観ムードが修正され始めているが、そうした上下動は低成長時代には付き物の現象と言って良いだろう。 脆弱さが顕著になってきた新興国に比べ、先進国はまずまずの成長ペースが期待されている。特に米国経済は今年3%以上の成長率を遂げる、との見方が強まっている。筆者はまだそこまで強気ではないが、昨年末の米国内でのガソリン消費量や化学業界の石油消費量を見ていると、確かに今回の強気説は過去数年間に浮かんでは消えた「期待先行」のムードとは違うかもしれない、とも感じている。 雇用状況や物価上昇圧力という点では、本来の米国経済の姿からは未だに程遠い。サマーズ氏が語ったような低成長の長期化が予想される中で、大