トコナ(TOKONA-X)がこの世を去って10年以上の月日が経つ。 俺自身、彼の生き様に半端なく影響を受けた。人生が大きく変わったといっても過言じゃない。 TOKONAを初めて知ったのは1990年代の後半、ダブルケーのMIXテープだった。ツレの車のカーオーディオから流れてくるイルマリアッチは、当時のHIPHOPシーンの中では明らかに異色で、 「おい、コレほんとにタメか?」 そうツレに聞いたのを憶えている。 しばらくして、「1回ライブ見に行ってみるか」と仲間と一緒に名古屋に向かった。名古屋のクラブが集まる女子大通りは、夜の商売の大人たちとB-BOY&B-GIRLが共存する独特の雰囲気で、田舎のガキだった俺達はあっという間にのまれてしまった。 それに当時「THUG一色」だった名古屋のHIPHOPシーンは、危険な空気が充満していてよそ者の俺達は楽しむどころではなかったのだ。「これ無事に帰れるんか