会社に勤めていて悶々としていた時、さまざまな壁にぶち当たり、いっそ自分でビジネスを始めることができたらどんなに素敵だろうかとよく夢想した。 その時に思ったことは、まずは、お金がない、ということだった。 もちろん、ないのはそれだけではなく、成功間違いなしのアイディアとともに戦ってくれる仲間もいなかった。 それさえあればなあ、とよく考えたものだ。 その頃、よく読んだり聞いたりした話は、ことを成すために必要なのはお金やアイディアではなく、「世界をよくしたいという強烈な志であって、それさえあれば、ほかのものはついてくる」という話で、ほんとうかなあと懐疑的に思っていた。 どんな高尚な志を持っていても失敗する人がほとんどじゃないのか。 そいつは天上の物語、神話に違いないと。 ところで、ライト兄弟と飛行一番乗りを競ったサミュエル・ピエールポント・ラングレーのことは知っているだろうか。 当時の飛行機開発は