学歴は武器、どころか足かせとなった。名だたる大学院を出ても非正規雇用、あるいは無職となってしまう者たちが続々と生まれている。そんな高学歴ワーキングプアの実態を『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)の著者である評論家の水月昭道氏がレポートする。 * * * 京都大学大学院で博士号を取得したAさん。30代前半で他の大学の授業を週に2科目担当する非常勤講師だが、同時に毎朝の「ゴミ収集アルバイト」も続けている。生活を維持できないからだ。 大学の非常勤講師は1科目を担当すると月4コマ(1コマ90分)の講義を行なう。報酬の相場は1科目3万円だから、Aさんは月収6万円。生活費に加え、資料代や研究費などの経費まで自己負担するため、アルバイトせざるを得ない。「超高学歴ワーキングプア」といったところだろうか。 こうした非常勤雇用は私大に多く有名大学で半分、中には7割に達するところもある。大学全体でも正規雇用