やはり「ミニマル」だった。 1998年のモード界の傾向をひとことで表現すれば、そういうことになるだろう。去年も「ミニマル」だったし、たぶん、来年もそこそこに「ミニマル」だろう。 とはいっても、どこまでを「ミニマル」と規定するかは難しいところだ。ヘルムート・ラングは、むろんミニマル。では、マルタン・マルジェラは? う~ん、ミニマルと規定すべき人ではないけれど、今年彼のデザインした「エルメス」は、シンプルすぎて僕にはミニマルに見えてしまった。 テクノの隆盛とともにミニマルという言葉は、きわめて安易に使われるようになってしまい……と言う僕も本稿では、きわめて安易に使わせてもらうが……余計なモノを削ぎ落とした単純さ、反復、が顕著であれば、それは「ミニマル」と呼ばれるようになってしまった。まあ、そんなようなものだが、美術において「ミニマル・アート」なる傾向が現れてきたときは、それほど単調な「概念」で