これまで見てきたように、コンゴ民主共和国はベルギーから独立後、1960年から64年まで国名がコンゴ共和国であったこともあり、西に隣接するコンゴ共和国(首都がブラザビル)と、混同されがちだ。キンシャサとブラザビルは、コンゴ川を跨いだ対岸に位置する。ふたつのコンゴは、それより北に位置するアンゴラとともに、15世紀まではひとつの〈コンゴ王国〉だった。19世紀、現在のコンゴ民主共和国はベルギー領になり、フランス領になったコンゴ共和国とは異なる文化が育まれていく。 〈Société des ambianceurs et des personnes élégantes(お洒落で優雅な紳士協会)〉の頭文字をとって〈サップ〉と呼ばれる文化が、両コンゴで、似て非なるスタイルで浸透している。サップを体現するとサプールと呼ばれる。発祥に関しては諸説あるが、一説では、第一次世界大戦でフランス軍に従軍したコンゴ共和