先月来日した『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン教授が日本で最も頻繁に受けた質問は、「日本はどうしたらいいですか?」「私たちはこれからどうしたらいいですか?」だった。グラットン教授は困惑気味に言った。「こんなに自分たち自身の未来について外国からきた人に尋ねるのは日本人だけではないかしら」。そんな私たちの姿は、親に頼りきりの子どものように見えたようだ。『ワーク・シフト』には、変わりゆく世界のなかでなすすべもなく「漫然と迎える未来」と、ある覚悟をもって積極的に選び取っていく「主体的に築く未来」の対比を生々しく描いている。日本人が「主体的に築く未来」を目指すために必要なのは、誰かに答えを与えてもらうことではなく、自ら考えること――グラットン先生から日本の若い人へのメッセージである。 受け身の子どもから、自立した大人へ 『ワーク・シフト』は2012年8月に日本で翻訳出版され、ビジネス書のベス