職場や上司がよく掲げるスローガンに、「悩み事があれば何でも相談しよう」というものがある。 前は一国の首相までもが、「相談して欲しい」と投げかけていたほどだ。 自分は、毎度、このスローガンに違和感を覚える。 このスローガンは、結局のところ、心身ともに元気な人が、心身に不調をきたした人のことをまったく理解せずに、「何でも話してくれ。まあ、聞くだけなら俺にでもできるかもしれないから」と、不確かな自身を掲げているに過ぎない行為だからだ。 その自信はどこから沸いてくるのだろう。 おそらく、その聞き手の根拠として、「経験則」というものがあると思う。 職場などでも、悩みの聞き手は、この経験値の多い人間を充てがわれることが多い。 うつ病を経験した人、地獄のような職場を経験した人、死ぬような思いをした人、等々。 そういう人ならば、話し手の苦しみを幾らかでもわかってくれるはずだ、と思うからだ。 が、しかし、そ