■「弱測定」で90%の確率で予測が的中 そこでマーチ教授らは、上記の予測に加え、「弱測定」という近年注目されている方法を使い、特殊な予測を行った。通常の測定では量子の特性である複数の状態の共存を壊してしまうが、弱測定という方法では、その状態を壊さずに測定できるという。 具体的手法としては、特定の状態の量子に対し、その状態を壊さない程度の弱い測定を繰り返し、さらにその後の状態を厳選し、データを得る。サイコロの例で言えば、振り出す動作を何度も繰り返し、同じような動きができたものを厳選し、サイコロが取りうる動きを調べるようなものだ。 さらに弱測定にはもうひとつ大きな特徴がある。それは、時間が過去にも未来にも進むことを前提としており、測定結果から遡って過去の状態の確率を計算する「遡測(retrodiction)」という特殊な予測をすることができるという点だ。そして驚くべきことに遡測は、実験において