領地に足を踏み入れる。こんなにも寂れたような所だったろうか。 「フローラッ!」 城とは名ばかりの木造の庄屋作りっぽい建物から私と同じ白金の髪を短髪に刈り上げた男性が飛び出てきた。 ぎゅうぎゅうと抱きしめられて目をぱちくりさせていると、じいが「お館様、ただ今戻りました」と挨拶をしているところを見ると私の父親なのだろうか? 物心ついた時にはダフマン家にいたので記憶が曖昧だ。 しかし父親にしては若すぎるような気がする。 「フローラ様。次兄のレーフィン様ですぞ。」 「あ、兄上?」 おそるおそる呼びかければ、その若者はデレっとした笑顔を浮かべた。 「大きくなったなぁ。フローラ」 アマゾン家は多産の家系である。次兄の他にも兄弟姉妹がわんさかいたはずなんだが。 「・・・つもる話は中で旅装を解かれてからがいいでしょう」 じいにそう言われて城という名前の木造建築に入る。この世界では石づくりの建物が普通なはず