コインブラとバハールの戦争――通称、ヴァルデッカ継承戦争から三年の月日が経った。この間、世はまさに怒涛の如く動いていた。 反乱を起こしたコインブラ州は南北に分割して統治されることとなり、南はウィルム、北はガディスが太守として任命された。ゲンブやギヴ、カームビズといった親グロール派と見做されていた州には、大方の予想に反して目立った罰が与えられる事はなかった。 ベフナムから皇帝の座を受け継いだアミルは、勝利の勢いのままに、ムンドノーヴォ大陸への遠征――“暁光作戦”の実施を宣言。コインブラとリベルダムを出発拠点とし、大船団を結成。各州より兵十万と物資を集め、ムンドノーヴォ大陸南東部を目指し出発した。アミル自ら総大将となり、前線の指揮官は元帥へと昇進したファリドが任じられた。ちなみに、戦費の負担は、コインブラ、ゲンブ、ギヴの州に重く課せられることになった。先の戦いの意趣返しは、ここで行なわれたのだ