福島大が今月、創立から60周年を迎えた。04年、国立大学が法人化されたのに伴い、大学運営は自由度が増した一方で、小規模の地方国立大は研究や教育の財源確保に苦しんでいる。県内唯一の国立大の福島大はどんな境遇に置かれ、何をめざしているのか。現状を3回にわたって報告する。 ●めざす「人材育成大学」 「本学は学生の自由で自律的な学びを重視している。『受動的に教えられる』から、『主体的に学ぶ』へ転換してほしい」 福島大で4月に開かれた入学式で、今野順夫学長は新入生約1200人に語りかけた。これまでに4万5千人もの卒業生を送り出し、「産業界や教育界など各界で活躍している」と、大学の伝統と実績を強調。陸上部などスポーツ活動の活躍ぶりも訴えた。 その今野学長自身が就任以来、頭を悩ますのも「自由で自律的な」大学運営だ。法人化に伴って、学内の予算配分など学長の裁量は拡大。大学が自らの目標を掲げ