エチオピアのバレ山脈で、立ち上がって周囲を警戒するエチオピアオオカミ(学名Canis simensis)。(PHOTOGRAPH BY CAGAN H. SEKERCIOGLU, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 博士号を目指して研究していた1991年、クラウディオ・シジェロ=スビリ氏は、エチオピアの険しいバレ山地を調査のために歩き回っていた。探していたのは、エチオピアオオカミ(学名Canis simensis)。アビシニアジャッカルとも呼ばれる、世界で最も希少なイヌ科動物だ。(参考記事:「アフリカ最後のオオカミ」) 当時、エチオピアオオカミの個体数は1000匹を割っており、保護活動が急務だった。しかし専門家のシジェロ=スビリ氏でも、生きた個体をなかなか見つけられない。それどころか、エチオピアオオカミの死骸が点在する荒涼とした風景が目の前に広がっていた。 死骸から
![アフリカの絶滅危惧オオカミ、ワクチンで救える](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/59a912c1a5810a6ac0d4f1cbe6e0c5562a88e6d4/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnatgeo.nikkeibp.co.jp%2Fatcl%2Fnews%2F16%2Fc%2F090800009%2Fph_thumb.jpg)