【概要】 脳の細胞にはいくつかの種類があるが、どのようにして決まった順序でそれぞれの種類の細胞がつくられるのだろうか。奈良先端科学技術大学院大学(学長:安田國雄)バイオサイエンス研究科分子神経分化制御学講座の波平昌一助教と中島欽一教授は、生物学の大きな謎とされていた「順番付け」の仕組みを世界で初めて明らかにした。脳の神経回路を形成する神経細胞(ニューロン)が、特定のタンパク質を介して、もうひとつの種類の細胞ができるように働きかけていたもの。複雑な構造の脳が発生する際の基礎科学的な理解を深めるだけでなく、この成果を応用することで脳疾患治療に必要とされる細胞供給高効率化へとつながる可能性も期待される。この成果は平成21年2月17日付けのDevelopmental Cell誌(Cell Press)に掲載された。 脳の中には、電気信号を発して情報を伝達し、記憶や学習に最も重要な役割を果たす神