ポール・ミルグロム&ジョン・ロバーツの「組織の経済学」とは、かつて経済学部生から「電話帳」と怖れられた企業と経営に関して経済学的な視点でまとめられた大著です。 1995年に出版された本ですが、アメリカの大学のビジネススクールの教科書として編纂され、経済学・経営学的な視点と数多くのケーススタディを融合させたとされる画期的な一冊です。 私も2度目の大学時代、農学部の経済学コースで、この本を教材とした授業(外書講読)を受講しましたが、非常によい本だったので5500円という大金を払って、日本語版を手にいれて読みました。 ただあまりにも分厚いもので、メールマガジンを出すということで読むためのモチベーションを維持しないといけないくらい大変でした。 このサイトは、そんなポールミルグラム&ジョンロバーツ箸の 「組織の経済学」を読みながら経済学・経営学のキー ワードを勉強しようというメールマガジンのバックナ
モラル・ハザード問題が最初にハッキリ認識されたのは、保険業界においてであった。 しかしこの「モラル・ハザード」という用語が、保険業界以外で広く用いられるようになったという事は、この問題が人間社会に広く普遍的な問題であることを意味している。 それはおそらく広い意味での「保険」が世の中には広く存在するからであり、それが「公共財」や「非排他財」などといった財の性質と相まってより問題をややこしくしていると考えられる。 ※公共財: たとえば公園や図書館や市役所といった公共で利用するための施 設・財のことで、会社の施設は会社員にとって公共財と同様になる。 ※非排他財: コストを支払った者以外の者の利用を制限できない財で、たとえば風景とか、コンサート会場のすぐ外でそのコンサートを傍聴する(音漏れ)なんていう感じ。 これらの財は、生産してもそれに支払われる対価が小さくなってしまうので、常に供給過少になるお
今回紹介するチューリング・パターンの仕事は、私が最も大好きな研究で、いつかこういう文章を書きたいと思っていました。ですから第2弾もあるかも知れません(今度はBZ(ベロウソフ・ジャボチンスキー)反応を解説します)。この研究をやっておられる近藤滋先生は大阪大学の先生なのですが、以前は名古屋大学の先生でした。東京大学でポスドクをしていた頃の私は、近藤先生の研究に感銘を受け先生の研究室で研究したい!、と思ったことを想い出します(東京大学での研究も非常に面白く、満足のいくものだったのですが)。近藤先生は菅島にも来て下さったことがあって、私の想像した通りの(後述します)素晴らしい先生でした。大阪大学の学生は幸せ者だと思います。我々のテミス遺伝子の研究も(「テミス・その1」、「テミス・その2」)、近藤先生なら即座に理解して、特に前半部のシステムの解明(「テミス・その1」)の仕事を「良く気が付きましたね!
フィボナッチ数と植物の形態 † この「研究」は、下のムスメとの共同研究である。 ……というか、ムスメの夏休みの自由研究(2007年夏)をネタに、あれこれ考察してみたものだ。 この「研究」のおかげで、植物の葉を見ると、つい数えるようになってしまった。 葉序 † ヒマワリ(シロタエヒマワリ?)のように、茎がまっすぐに立っている植物の、葉の付き方を観察する。 葉が上下に重なっているところを見つけたら、下のほうの葉を0(ゼロ)番として、上の葉が何枚目かを数える。 たいてい、0番の葉から右または左へ三分の一ほど回ったところに、1番の葉がある。 さらに三分の一ほど回って2番、そして3番へ行く前に0番の上を通過する。 数え始めてから1周して、2周目に入ったことになる。 そうやって数えてみたところ、8番の葉(8枚目)で下の葉と重なった。 そして、それまでの間に、茎の周りを3周している。 このような葉の付き
1.個体数はどう変わる? 「自然の世界に生きる生物たちの個体数は、自然のバランスによってほぼ一定に保たれているのではないか」という直観は、実は当たっていないことが多い。個体数が突然増えたかと思うと、しばらく後に急激に減り、しかもゼロになることはなく(絶滅することなく)存続するという例がよく見られる。 個体数変化のパターンは、大まかに「平衡」「周期変動」「カオス」の3つに分けられる。「平衡」は一定の個体数が続く安定した状態、「周期変動」はある周期で増えたり減ったりする繰り返しパターン、「カオス」はでたらめに変動しているように見える複雑な変化パターンである。野外での長期にわたる観測例は多くはないが、平衡やそれに近い状態が7割、周期変動が3割の生物で見られ、カオスははっきりとは認められないことがわかってきた。
1952年に、イギリスの代表的な数学者でコンピュータ科学の生みの親でもあるアラン・チューリングが、「2つの仮想的な化学物質が、ある条件を満たして互いの合成をコントロールしあうとき、その物質の濃度分布は均一にならず、濃い部分と薄い部分が、空間に繰り返しパターン(反応拡散波)を作って安定する」ことを、数学的に証明した。1970年代に数人の数学者がチューリングの方程式を2次元でシミュレーションしたところ(チューリングの時代はコンピュータがなかった)、方程式の定数(仮想的な化学物質の性質)を少し変えるだけで、シマウマのストライプ模様もキリンの網目模様も、豹の斑点模様も作り出せることを発見した。が、これはほとんどの実験生物学者の興味を引くことができなかった。シミュレーションでシマウマの縞を作ることができても、「シマウマの縞が反応拡散波である」という証明にはならないからである。反応拡散波理論は、再発見
細胞工学連載コラム「生命科学の明日はどっちだ?」目次 第六回: 生命科学でインディ・ジョーンズしよう!!(完結編) 前編のあらすじ 生命科学者たる者,毎日淡々と実験にいそしんでいるように見えても,その魂の底には冒険野郎が住んでおり,いつかは隠れた財宝ならぬ生物学史上に残るような発見をしたい,と夢見るのが性というものである.だから,もし宝の地図<数理モデル>が手に入ってしまったら旅に出るしかない.しかし,未知への旅は誰しも不安なもの.「そんなこと本当にできるのか?」「危険な賭けなんじゃないの?」とのご心配,ごもっともです.そんな皆さんのために,Turing理論という地図を手に宝探しの旅に出た筆者の実体験を例に,数理モデルの有効な利用法を解説しています.前編では,実験生物学者のほとんどがTuring理論を信じていないことを知り,一度あきらめかけるも,Turing理論の語り部と出会い再び冒
Turing Goes Galactic Once one starts to look, there seems to be no end to Turing patterns: their forms can be seen in weather systems, the distribution of vegetation across landscapes and even the constellations of galaxies. Image: Galaxy N51, the Whirlpool Galaxy. (European Space Agency) Brandon is a Wired Science reporter and freelance journalist. Based in Brooklyn, New York and Bangor, Maine, h
生物学特論A(分類系統学II)またの名を「数理生物学」と申します。 なぜ数理生物学なのかと申しますと,東京女子大学当局からこの科目の講義 依頼を受けた時には,「数理生物学」でお願いします,と言われたからです。 以来,私は数理生物学という授業を担当するものだとばかり思っていました。 他意はありません。とりあげる内容はシラバスに書いたとおりです。 科目名:生物学特論A 合同授業・共通授業:分類系統学II 科目区分:数理科学科情報理学専攻 履修年次:2,3,4 担当者:浅川伸一(あさかわしんいち)asakawa@ieee.org 開講期:前期 授業用メーリングリスト:mathbio2010@ml.twcu.ac.jp 要求される知識 PCに関する知識:あればあった方がよいですが, PCに嫌悪感を持っていない程度でよいです。 プログラミングに関する知識:まったく不要 数学に関する知識:大学一年生の
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