中国四川省の省都、成都からバスに乗り込み、東チベットへ向かった。四川省西部、ガンゼ・チベット自治州の色達(セルタ)にある、チベット仏教ニンマ派の僧院「色达喇荣寺五明佛学院(ラルン・ガル・ゴンパ)」を目指す。 山崩れによる通行止めに遭いつつ、17時間かけてなんとか標高4000mほどの地点へ着いたのは深夜であった。雨が降ったのか、ぬかるんだドロドロの道を重い荷物と共に歩く。同じバスに乗る巡礼に来たチベット人家族たちと味のしない麺を食べて、小さなバスに乗り換え宿へ向かう。真っ暗な道のりの中、無数の窓の明かりが浮かんでいる。一つひとつの家は小さいが、かなりの密度であるようだ。しかしこの町の全貌を知るには、翌日の朝まで待たなければならなかった。 宿はバスを降りた地点からかなり高い場所に位置していた。大きな行事があるらしく、他所から来たチベット人がたくさんいた。僧侶たちはみな、あずき色の袈裟を着ている