日本語でひとくちに「編曲」と言っても、その作業内容は大きく2種類に分けられます。 Transcription(置き換え。編成Aの曲を編成Bのために書き換える)とArrangement(編み変え。原曲の素材[多くの場合はメロディ、和音進行など]を残して、その他の部分を書き換える。例えば伴奏が変わったり対旋律が変わったり。編成が変わることも多い)の2種類。 後者ならば、必要に応じて原型を留めないにくらい作り替えても良いわけで、そうすると編曲者のオリジナリティを盛り込んだ名編曲、というのも想像しやすいですよね。 ところが前者の方、「編成の置き換え」の良し悪しはなかなか作業している当事者以外からはわからなかったりするものです。ですが、たまたま僕のところに編曲レッスンに通った末に最近仕上がった生徒さんの好例があるので、それを一例に、この「置き換え編曲」の世界を少しご紹介します。曲は、ラヴェルのピアノ