誰よりも深く踏み込むのだけれど、距離がある。 (鵜飼哲) 20世紀文化の臨界 作者: 浅田彰出版社/メーカー: 青土社発売日: 2000/05メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブログ (11件) を見る きのうジュネの作品について書いたので、この作家に関することを少し補足しておきたい。 1994年に、パレスチナを舞台とした遺作『恋する虜』の翻訳が出版された(この本は、現在入手がすごく難しいようだ)前後から、この作家の再評価というか、新たなジュネブームのようなものが日本で起こった。 ジュネというと、かつては三島由紀夫や澁澤龍彦がその日本における賛美者の代表だったが、『恋する虜』の出現によって、パレスチナ解放闘争やブラックパンサーと連帯した政治的文学者としてのジュネの側面が突如クローズアップされるようになり、この角度から多く論じられるようになった。 同性愛と美への