東京には、ビルの谷間に埋もれるようにひっそりとたたずむ隠れ里のような古い町並がまだまだ存在しています。都会の真ん中でそんな一画に入り込むと、まるでタイムスリップしたかのような感覚にとらわれることさえあります。しかし、風情あるそれらの町並みも、区画整理や再開発の名の下に急速に姿を消そうとしています。そしてその中には、廃屋のまま放置され、ゴーストタウン化してしまったところも少なくないのです。 都会の一等地にありながら、住む者もなく、風雪にさらされるがままになった家々。そこには、棄てられたものが持つ哀愁が漂っています。近い将来、これらの町は地図から姿を消し、近代的なビルに生まれ変わってしまうのでしょう。そうなる前に、ここにこんな町があったということを記録にとどめておきたい、棄てられ消えゆく運命にある建物の最後の姿を残しておきたい−−そんな思いで企画したのがこのページです。 地図上の番号か下