あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! 『おれはコルタサルの書いた物語の中に没頭していたと思ったらいつのまにか外にいた』 な…何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ… 読んでいる自分が把握できなくなる罠に掛かる、しかも見事に。 現実からその向こうへのシフトがあまりに自然かつスムースなので、「行った」ことに気づけない。リアルからギアチェンジしてゆく幻想譚ではなく、ユメとウツツが地続きなことに愕然とする。剣の達人に斬られた人は、斬られたことに気づかないまま絶命するというが、そんな感じ。 ふつうわたしは、「本の中の世界」の現実と、「本を読んでいる」現実とを分けて考える。両者を隔てているのは、本を構成する物理的な紙の表面であったり、わ