岩ゴツゴツの場所のお茶は、おいしい 2009年8月18日 中国茶評論家・工藤佳治 ――美味なるお茶のふるさとは、「夜景の岩」を楽しむ場所 前にも書いたことがあるが、お茶に限らず野菜でも、劣悪環境と思われる場所で作られたものは概しておいしい。吸収するべき水分もままならず、栄養など吸収もできないような場所である。植物にすれば、生きるか死ぬかの状況である。根を細かく、深くはり、出来る限りの養分を吸収しようとする。空気中からも水分を取ろうと産毛を生やしたりもする。お茶でいえば、甘くなる。 栄養過多で、ぬくぬくと育ったものよりは、生きるために必死に努力したものの方がおいしくなる。 銘茶の中にもそのような地形で育ったものがある。その一つが「武夷岩茶」。福建省北部、岩が競いそそり立つ山場である。その奇岩、景勝から、今では世界遺産となり、古くからの観光地を一層訪れる人が多くなっている。そんな岩場は、水はけ