消毒してガーゼを当てる――。ケガをしたときに、これまで当然のように行われていた処置だが、最近この治療の常識が覆りつつある。実は、キズを消毒してガーゼを当てるという処置は、かえって痛みを伴い、キズの治りも遅くするというのだから驚きだ。 キズの新しい治療法の考え方はいたって簡単。「消毒しない」「水道水でよく洗う」「乾かさずに覆う」の3つの原則を守るだけだ。なお、キズを覆うのに使うのは、ガーゼではなく、“ハイドロコロイド素材”といって、床ずれの治療などで医療用に使われている皮膚保護剤だ。 キズをよく洗った後、ハイドロコロイド素材を当てて、絶対に乾かさないようにしておく。これだけで、痛みも少なく、早く治るのだという。しかも、キズあとが残りにくいというメリットさえある。 では、なぜ消毒やガーゼはいけないのだろうか。これにはいくつか理由がある。 まず、キズが治る過程には、キズ口からしみ出てくる