(要旨) 現在日本のネット文化を考えるとき、コミュニケーション・ツールとしての電子掲示板(BBS:Bulletin Board System)が果たしている役割を無視するわけにはいかない。公共的な討議の場となることもあれば、友人との私的な会話空間や独白の舞台となることもある、あるいは、マスメディア的ジャーナリズムに対抗するような情報交換の場となることもあれば、匿名の有象無象が無責任な「放言」を垂れ流すだけのカオスともなることもある…毀誉褒貶さまざまな評価が差し向けられてはいるが、BBSが現代文化の「基層」を形成しつつあることは間違いないだろう。 本報告では、 1.日本におけるBBSの歴史的変容(90年代の「インターネットの世俗化」以前/以後の変容)を簡単にたどったうえで、 2.近年話題を集めている「ポストモダン社会」論、「データベース的消費」論(世界像を内包した物語よりは断