サッカーJ+Vol5でぼくが書きたかったのは、既存メディアの、おもしろさありきの行きすぎた報道にグロテスクさを感じたから。 エンターブレイン社に転載の確認を取っていないが、ここは独断でJ+に書いた、マスメディアが「報道の名のもとに行った」イエロージャーナリズムの仕組みについての部分を転載する。 事件が発覚した後の報道のからくりはこうだ。ベランダ側で採取された指紋を根拠にマスコミ対応した捜査員が「外壁をよじ登ったのかもね」などと軽口を叩く。もちろん室内からも指紋は採取されているはずだが、そんな事はお構いなし。「おもしろければいい」のである。4階のマンションの外壁をよじ登るという原稿はS選手が移籍加入直後だったことも手伝って、人間関係の希薄な番記者たちによって紙面に載ることになる。もし仮に読者からの抗議が来ても、捜査員の口から出た示唆をベースにしているからまるっきりの嘘ではない。そうやって曖昧