『戦場のメリークリスマス』(Merry Christmas Mr.Lawrence/1983) 私はボウイを“使った”のではない。私の持論だが、監督は出演者を選ぶけれども、出演者もまた監督や作品を選ぶ。ボウイやタケシやサカモトが私を選んでくれたおかげで、『戦場のメリークリスマス』は完成した。そのことは日本のみならず世界の驚異だった。 大島渚監督らしい言葉だ。「一に素人、二に歌うたい、三、四がなくて五が映画スター。六、七、八、九となくて十に新劇」と自ら言うほど、映画の配役には独自の美学を貫き通してきた。 1959年に松竹で監督デビュー。“日本ヌーヴェル・ヴァーグ”の旗手としてその名を知られるようになる。61年退社後は独立プロを設立。以降、映画やTVドキュメンタリーなどを撮り続ける。そして76年にフランス資本が入った『愛のコリーダ』、78年には『愛の亡霊』を発表。後者でカンヌ映画祭監督賞を受賞