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いい文と創作に関するwhite_cakeのブックマーク (3)

  • 蟹の神 - Junk

    俺は蟹が好きでも嫌いでもない。 だから、この仕事を長くやっていられるのだろうと思う。 俺の人生の大半がカゴいっぱいの蟹を眺める行為で出来ているとしても、それは好き嫌いとは別の話だ。 あんまり蟹に思い入れを抱きすぎると、たいていろくなことにならない。 一昨日の夜間勤務において、後輩のジョンス君が蟹の群れを見やりつつ突然、 「天国ってあるんですかね。蟹の」 などと言い出したとき、俺は「あー、うんハイハイ」とか何とか言いながらジョンス君が蟹が好きでこの職業を選んだことを思い出した。 「ハイハイ、蟹の天国ね」 「あるといいですよね」 「そうかな……そんなもんあってもなあ……。蟹ばっかりなんだろ」 「ええ。きっと善い蟹で溢れかえっているんですよ」 「それなら、そこのカゴの中はすでに蟹天国じゃないか」 「え」 ジョンス君はカゴを凝視する。 カゴの中で無数にうごめく蟹。楽しそうにも見える。苦しそうにも見

  • 帽子姿の紳士が一人、古びた駅のホームを歩いている。 -

    帽子姿の紳士が一人、古びた駅のホームを歩いている。 「卿、お待ちください」 後ろから声をかけられ紳士が振りむく。警察署の刑事だった。薄汚れたスーツのポケットからハンカチを取り出し鼻をかむ。 「……失礼」 「また君か。わしへの容疑は晴れたんじゃなかったかね?」 紳士は肩口のほこりを払いながら軽く受け答えする。何かを心配しているといった表情はまったくない。 「いやたしかに何の証拠もありませんでした。そのご立派なスーツについていた煤も証拠としては不十分でしたし、焼け残った白骨からもあなたとの関連はなにもなし。彼を殺す動機も不明ですしね」 「なら用はなかろう」 そういって立ち去ろうとする紳士に、あわてて刑事がかけより小声でつぶやく。 「……いままでは」 紳士の眉がピクリと動き、刑事に向き直る。 「いままでは? 何か証拠が見つかったのかね?」 「あ、いや、まだ見つかってはいないんですが、その前にお話

    帽子姿の紳士が一人、古びた駅のホームを歩いている。 -
  • 超ボランティア - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    ここは日焼けとサーフィンと桑田佳祐の町、湘南。そして海岸。マサヒコはすばらしい気分で海岸のゴミをつぎつぎと袋に入れていった。そんなマサヒコの背中からは、ボランティア参加者特有のある種のアドレナリンが、汗と一緒に分泌されているように見えた。 マサヒコが袋をいっぱいにしていったん部に持って行った時、マサヒコの胸もまた誇らしい気持ちでいっぱいだった。その時、マサヒコの心はゴミ袋とシンクロしていた。 「がんばってるね」ゴミ袋を受け取った人がマサヒコに声をかけた。 「ええ、いいことをするのは気持ちがいいですね」 マサヒコが青空の太陽にも負けない百点満点の笑顔で言うと、部の人たちは嘲笑するように笑った。 「失礼じゃないですか」マサヒコはムッとして言った。 「失礼なのは君のほうだよ」 マサヒコが部に来てから、ずっとただならぬオーラを放っていた老人がおもむろに立ち上がった。 「あなたは……」とマサヒ

    超ボランティア - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ
    white_cake
    white_cake 2007/08/28
    鬼的なひげの老人。
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