私の勤務する教室は廊下に面している教室の壁の上から2/3がガラス窓になっているので教員室から殆どの教室が観察できるようになっている。 昨日、そのなかで私の机から真正面にある教室で、授業の休み時間に本を読んでいた女子生徒(以下X)が「ウワッ!」と言う声を上げて椅子から立ち上がった。声に併せてそちらを見上げると丁度こちらに顔を向けたXと目があって「こっちこっち」と手招きされた。すわ何事かと駆けつけ(と言って5mくらいの距離なのだが)て「どうしましたか?(どうでも言い事だが相手の学年が幾つであれ生徒に対しては敬語で接している)」と尋ねると、Xは「先生、この本ヤバイ」と私に本を差し出した。図書館で借りてきたらしい透明クロスで製本されたその本は最近ミステリに興味を持ち始めたXが凝っている、西澤保彦の単行本で『仔羊たちの聖夜』だった。 西澤保彦に関してはその推理小説に超能力やSFと言ったテイストを取り