満面の笑みで青っ洟を垂れ流す息子の鼻を「これが砂金だったらいいのになぁ」と言いながらティッシュで拭っていたら嫁に「またつまらないことを言って」と笑われた。 息子はいつからか非常に俊敏なハイハイをする男で、あのまだ現実じみていた頃のテニスの王子様の、伊武戦で披露した越前リョーマのあの最初の一歩がめっちゃ速いじゃんみたいなハイハイの使い手で、それなりに距離があったはずなのに一瞬目を逸らしてまた振り返るとザンギエフのスクリューパイルドライバーで巻き込めるくらいの距離まで俺に接近しているゴキブリみたいなスピードのハイハイを繰り出す、そんな彼だ。 そんな彼なので「これ最強じゃん」と言わんばかりにハイハイに頼り切った毎日をしばらく送っていて、保育園に行けばよその同じような月齢の子どもも立っただの歩いただの親にとってはコンテンツ力のある成長を見せつけているというのに、僕の息子はというと相変わらずの満面の